別名「ヤグルソウ」と呼ばれているヤグルマギク

各地の地元新聞社がすすめる一品が集う

函館の青柳町こそかなしけれ
友の恋歌
矢車の花
(石川啄木)

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別名「ヤグルソウ」と呼ばれているヤグルマギク

別名「ヤグルソウ」と呼ばれているヤグルマギク

青春18きっぷを手にデイバッグ一つとカメラを持って、初めて東北から北海道へと渡った時のことは今も覚えている。旅程は啄木の足跡を訪ねてみることを目的にしたものだった。

盆休み、お線香の香りの中を歩いた。函館の大森浜を見下ろす墓地の道路沿いに啄木一家の墓があった。誰かが手向けた花が置いてあった。煙草を咥えて火をつけ、手を合わせて置いた。少し歩くと立待岬。与謝野鉄幹、晶子夫妻の歌碑があった。夏でも荒れた海の向こうに青森県の陸奥湾が見えた。

砂山の砂に腹這い
初恋のいたみを遠く
おもひ出づる日

啄木が文壇に名を現したのは詩が最初だった。処女詩集が好評を得た。
小説を書くも創作活動は行き詰まっていった。
心のはけ口のように創作ノートに短歌を書いていく。

もしかしたら、啄木自身は自らの歌の魅力を過小評価していたのではないか。
2冊の歌集は、病に倒れ薬代のためと、まさに臨終の際に、それも友人達の手で世に出された。歌集「悲しき玩具」は確か友人の土岐哀果が付けたが、啄木自身の序文「歌は悲しき玩具」からきている。

啄木の歌には「汽車」「駅」など旅に関連した語が多い。花もよく見られる。情景を詠み、内面を詠う手法は詩に通じる。

さらさらと
氷の屑が波に鳴る
磯の月夜のゆきかへりかな

かの時に言ひそびれたる
大切の言葉は今も
胸にのこれど

来方(こずかた)のお城の草に寝転びて
空に吸われし
十五の心

といった歌が個人的に好きです。

ヤグルマギクは別名、ヤグルマソウ。啄木が歌う矢車の花はヤグルマギク。ユキノシタ科のヤグルマソウとは違います。

★特集★東北六魂祭

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